そう考えるとネットワーク白物家電が、あっさりとあまりに意味のない製品となってしまう。
しかし、そうなのだ。特にこのインターネットと連動というのが一番意味が無いと筆者は考える。
前述されている「ネット家電」の走りといわれる2シリーズと今回の「スマート家電」を並べてみる。
1999年 シャープ インターネットオーブンレンジ「RE-M210(インターネット DE これつくろ!)」
2002年 東芝 Bluetooth搭載 ネットワーク家電「フェミニティシリーズ」
2012年 パナソニック スマートフォン対応 スマート家電シリーズ
これを見ると、気がつかないだろうか。
かなりの時期をあけて発売された今回の「スマート家電」シリーズであるが、
今までのネット家電達と実は発売きっかけが変わらないことに。
過去の2製品の発売はかなり昔の10年前であるため覚えている人も少ないと思うので、
詳細に記載された記事に関心すらしてしまった私であるが、
当サイト(白物家電専門サイト 家電情報マガジンWHITE)の誕生もこの頃なので、私は意外と覚えている。
また、当時白物家電技術者として新人であった私は、ホームページをやっているという安直な理由で、
多少検討に加わらせてもらった経験もある。といってもその経験とはまったく関係無く、
当時の各社ネットワーク家電の開発や検討、発売は、とにかく世間で流行しているモノ(IT情報技術)との
融合をさせたいのだという印象が強かった。
インターネットが流行し普及に向かう1999年に、インターネットレンジが発売されている。
また普及期に向かい次世代の通信規格だというBluetoothが登場したら、Bluetooth搭載家電シリーズが発売された。
今回、さすがに行けるか?と思われたが、今回もやはりスマートフォンブームのため、
スマートフォン対応家電シリーズが発売されているのにすぎない。
今回のスマート家電が「3度目の正直」とは素直になりそうにないことは、正直に残念だが、
要するに今までの発売自体が流行に乗っけたにすぎないのだ。
その事情としては、あまりに身近でなくユーザーに対して距離感のあるネット家電を、身近に浸透させたいという
強い意図の表れと、突然登場してさっぱり売れないのでは困るという採算的な意図があるのだと思う。
また発売後のビジネスモデルというやつも、どうしてもネットワーク企業お得意のインターネットからの〇〇販売や、
クラウド云々に頼ることによる採算性を計画しないと、商品開発の元出や、
製品の高額化を抑えられないなどの実情があるのかもしれない。
さらに今回のスマート家電に至っては、ネット白物家電として今までにない大量CM投下をしているため、
ビジネスとしては過去から考えても逆に一番大きな誤算であり痛手であると思う。
そうやって今までのネット家電シリーズは失敗をしてきたのだと私は考えている。
つまり、ワリと毎回あんまり儲からないのに、過剰期待をされてしまう商品群として登場してしまうのだ。
このこともネット家電にとって不利だと思ってしまう。
それにネットワーク家電であるから、インターネット家電である必要性も私は感じない。
これも根本的な問題であるし、先の経済産業省からの指摘とも共通するが、
やっぱインターネットと白物家電の接続は無謀だ。
通信機器の考えるソフトとハードの役割は、ソフトがプログラムで、
ハードが表示/操作/記録/印刷機器などであることが多い。だが白物家電をハードと考えると、
通信機器としてはあらゆることができる秀逸なハードを手に入れたことになるのかもしれないし、
また通信機器が高度であり、白物家電に高度な通信機能を搭載したみたいな販売訴求も自然であるとは思う。
しかし、何か根本的に間違っているのだ。
次の記事はこちら→( 7)白物家電とネットワーク家電 今後について )
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